

知り初めし恋に萌ゆ萌ゆ
¥300 税込
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サークル名:葵月
作家名:冴月希衣
【平安時代はお好きですか?】
中納言家の若君、源希(みなもとののぞむ)は帝にお仕えする六位蔵人。
花形の官職に十六歳で任じられた将来有望な少年は、ある日、母の客として邸を訪れた帥宮(そちのみや)と出会う。
弓の稽古に苦戦していた希に優しく手ほどきをしてくれる宮様。麗しく知的、弓の名手でもある貴公子にのぼせ上がってしまった希は、宮に会うためだけに彼が通う姫の邸周辺に出没し始める。
自分が美形だとちゃんとわかっている悪い大人と、純粋培養の若君。
雅で異端な平安BL絵巻、紐解いてみませんか?
【試読:第一章より抜粋】
希のものよりも大きな手が差し出され、おずおずとそこへ伸ばした少年の手はすぐにきゅっと包まれた。途端、さあっと吹きつけてきた秋風が希に薫香を届ける。
沈香かな? それに丁子、甘松香、甲香だろうか。宮様は、御姿が美しいだけでなく、身に纏われる香までが艶かしいのか。
帥宮の衣に焚きしめられた香の芳しさに、白雪のごとき頬をぽうっと染めた少年は、早速、弓の指南を開始した麗人の的確で優しい手ほどきに、どんどんと顔の熱が上がっていくのを止められない。希の手を取り、肩と胴を支え、腕の位置を直してくれる指南の最中、どんどん、どんどんと体温も上がっていく。
「そう、良い子だ。其方は、筋が良いな。まこと、教え甲斐がある」
耳元で囁かれる艶声をもっと聞いていたくて、熱をもった頭と身体を奮い立たせた希は貪欲に教えを吸収し続ける。
「ふふっ。だが、覚えが良すぎるのも考えものであるな。他のことも教えたくなってしまうではないか。危うい子だ。この私に別れがたい感傷を与えるとは、なんと危うく、愛(う)いことよ」
手ほどきの最後、帥宮から与えられた甘い声と軽い抱擁が、別れた後もしばらくの間、少年の白皙の頬に朱を散らし続けていた。
風に踊る紅葉よりも更に朱い熱情。それは希が初めて体感した本気の恋の奔流だった。
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