



ひかり
¥300 税込
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サークル名:ぽかぽか亭
作家・アーティスト名:萌 令児
文庫本/約20ページ/約3500文字
《あらすじ》
身を切る生き方しか知らない青年は、生きることを作業のように淡々と繰り返す。地獄の底で、青年は初めて搾取しない大人と出会った。
青年に差し込む小さな“ひかり”に救いはあるのか。
生きること、生かされること、その差異に迫る。
重く、美しく、そして静かに進んでいく短編物語。
※心の傷や過去の暴力に触れる描写があります※
手製本のため製品の質にばらつきがありますが、味としてお楽しみください
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◾️作者が初めて作った本です。
純文学に向き合い、自分なりに短編小説を書いてみました。おすすめしたい渾身の一作です。
【本文冒頭】
「私はこの身ひとつしか持ち合わせておりません。どうぞ、好きに使っていただいて構いません」
名もなき青年は、片方の腕で腹の傷口を押さえると少し顔を歪めながら、布団から身体を起こした。額から濡れた手拭いが落ちるのを気にする素振りも見せず、指先を丁寧に揃え、畳に額をつける。そして、黒川 吉之助に向かい、そう口にした。青年はそれ以上は何も言わない。
もう、どうでもよかった。
この身を弄ばれても、痛ぶられても、玩具にされても、殺されても、もう構わない。
ふたりだけの静寂がしばらく流れたあと、ゆっくりと頭を上げる。青年は、目の前の吉之助の表情を無視し、少し目線を下げてから微笑んだ。そうして、傷だらけの手で腰の帯に手を伸ばした。着物の合わせ目が、音もなくゆるむ。
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